ドローンを活用した農薬散布のメリットデメリットを解説【保存版】
ドローンを使った農薬散布ってどんなメリットデメリットがあるの?もしもメリットが多ければ検討したいから、具体的なやり方や費用を教えてほしい。
こんな方に向けた記事です。
この記事は、千葉県船橋市のドローン企業「船橋DRONE STATION」が書いています。
ドローンを活用した測量・点検業務のほか、スクールや通販など、ドローンに関するさまざまなサービスを提供しており、行政とも提携している組織です。
もちろん農薬の散布も承っています!
→当社のドローン農薬散布サービス
今回は、実際に農薬散布サービスを提供している私たちが「ドローンを使った農薬散布のメリットとデメリット」「費用感」「サービスの流れ」「注意点」について解説していきます。
そもそもドローンを活用した農薬散布とは?
農業において、ドローンを使って農薬を農作物に散布する技術や手法のことを指します。
従来の農業では、農薬散布は手作業やトラクターなどの農業機械を使って行われてきましたが、ドローンの導入によって効率的かつ精密な農薬散布が可能となりました。
ドローンを活用した農薬散布のメリット
ドローンを活用した農薬散布の具体的なメリットは、以下の3点です。
- 散布時間の短縮
- 使用する水量の軽減
- 農薬散布の効率化
ドローンによる農薬散布のメリット①:散布時間の短縮
ドローンを活用した農薬散布では、散布にかかる時間を従来の10分の1程度に短縮できます。
ドローンは農地の上空から広範囲に農薬を散布できるため、トラクターを使用して地上から散布する場合と比べて散布時間を大幅にカットすることができます。
また、ドローンは自動運転機能を備えていることから、人員不足による作業時間の増加を防ぐことも可能となります。
ドローンによる農薬散布のメリット②:使用する水量の軽減
ドローンを活用した農薬散布は、従来のトラクターによる散布と比べて水の使用量を約100分の1に減らすことができます。
ドローンの精密な散布技術とシステムによる管理により、必要な範囲に的確な量の農薬を散布し、無駄を減らします。
ドローンによる農薬散布のメリット③:農薬散布の効率化
ドローンを活用した農薬散布のメリットとして、広範囲カバーと精密な散布による効率化もあげられます。
ドローンは難しい地形にも対応し、迅速な対応が可能です。
これにより、農地の効率化や環境への負荷軽減の実現にもつながり、持続可能な農業に寄与します。
ドローンを活用した農薬散布のデメリット
ドローンを活用した農薬散布のデメリットは、以下の3点です。
- 導入やメンテナンスが高コスト
- 天候等によるドローンの飛行制限
- 農薬積載量の制約
ドローンによる農薬散布のデメリット①:導入やメンテナンスが高コスト
大規模な初期投資が必要で、ドローンの購入・メンテナンスや保険に費用がかかります。
また、ドローンの操作にはトレーニングや専門的な知識が必要であるため、それらの費用も考慮しなくてはなりません。
ただし、効率化と持続可能性を追求する上でドローンの利点もあり、総合的な費用対効果を判断する必要があります。
ドローンによる農薬散布のデメリット②:天候等によるドローンの飛行制限
ドローンを活用した農薬散布では、悪天候時や強風時にはドローンの安定性が低下し、散布のタイミングが難しくなることがあります。
また、飛行時間や飛行範囲にも限界があるため、作業の進行に制約が生じることもある点もデメリットです。
ドローンによる農薬散布のデメリット③:農薬積載量の制約
ドローンは小型であるため、農薬の積載量には限界があります。
大規模な農地の場合、一度の飛行で散布する農薬の量が少なく、短い間隔での給油や補充が頻繁に必要となります。
そのため作業が中断される可能性が高まり、散布作業の効率が低下することがあります。
効率的な農薬散布を行うためには、ドローンの積載量制約に対応する計画が必要となります。
ドローンによる農薬散布サービスの費用感
ドローンによる農薬散布の代行サービスは、民間業者では10aあたり2,000〜3,000円程度が単価相場となっています。
農薬散布だけでなく、データ管理や薬剤プランニングなどのサービスもあわせて提供される場合が多く、作業の大幅な効率化が見込めます。
また、一部地域の農業共同組合でもドローン農薬散布代行サービスが展開されており、一般的な民間業者によるサービスに比べて安価であることが多いです。
ドローンによる農薬散布の導入を検討する場合は、まずは管轄の農協に確認するのがおすすめです。
ご自身でドローン農薬散布を始めるには?
業者に外注するのが最も早いですが、ご自身でドローンの操縦スキルを身につけて始める方法もあります。
特に近ごろは農業におけるドローン活用の需要は多く、ビジネスチャンスですのでメリットも多いことでしょう。
具体的には以下の流れを踏襲するのがおすすめです。
ドローン農薬散布を自身で行なう流れ①農業用ドローンの機体選定
農業用ドローンを選定する上で最も重要なポイントは、圃場の広さに適したタンク容量であるかどうかです。
タンク容量の大きいドローンは価格も高価になるためオーバースペックは避けるべきですし、一方で圃場の広さに対してタンク容量の小さい機体を選んでしまうと作業効率が下がります。
一般的に、3ha〜10haでは5L機、10ha〜15haでは10L機、15ha〜50haでは16L機を選ぶとよいとされています。
タンク容量が決定したら、メーカーを選びます。
農業用ドローンは、購入後も定期点検やメンテナンスが必須。
なにかトラブルがあった際に対応してもらえることからも、お近くの業者で取り扱いのあるメーカーを選ぶのが良いでしょう。
もしメーカーに迷ったら、タンク容量8L以上の場合は最大手のDJIを、タンク容量8L以下の場合はマゼックスの検討がおすすめです。
ドローン農薬散布を自身で行なう流れ②申請や認定資格が必要がどうか確認する
農業用ドローンは、操縦に関しての資格は不要です。
しかし、下記の機体を使用する場合は技能認定を受けなければ購入できないので注意が必要です。
・農林水産航空協会の認定機を使用する場合
→農水協の認定教習所に通って資格を取らなければならない
・DJI、クボタの農業用ドローンを使用する場合
→国土交通省の管理団体DJI JAPANが運営するドローンの産業パイロット教育・訓練機関であるUTCが発行する「農業ドローン技能認定証明証」が必要
また、どの機体を使用する場合でも、ドローンによる農薬散布は国土交通大臣の承認が必要となる飛行形態である”危険物輸送””物件投下”に該当するため、事前に承認申請を行う必要があります。
申請には、
・総飛行時間10時間以上の飛行経歴
・空中散布については物件投下の経験回数5回以上
の条件を満たしている必要があり、
・操縦練習は十分な経験を有する者の監督の下に行う
・訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う
とされています。
個人でこれらの条件を満たすことは難しく、ドローンスクールで講習を受けるのが確実です。
ドローン農薬散布を自身で行なう流れ③申請作業や認定資格を取得する
以上の流れを踏まえて、必要な認定資格の取得や承認申請に向けた準備を行っていきます。
各種申請には1ヶ月半〜2ヶ月ほどかかる場合があるので、余裕をもってスケジュールを組むことをおすすめします。
なお、当社ではドローンスクールを運営しており、そこで農業用にドローンを活用していきたい方に向けた講習も行なっています。
当社が実際にドローンを活用した農薬散布の受託事業を営んでいるからこそ、実務につながる知識を惜しみなく提供します。
興味のある方はドローンスクールページをご覧ください。
ドローンを活用した農薬散布まとめ
ドローンを活用した農薬散布は、農業に革新をもたらす重要な技術です。
メリットとして、散布時間の短縮や使用する水量の軽減があげられます。
また、広範囲を効率的に散布できるため、農業分野における人員不足の問題解決に役立ちます。
一方で、導入コストが高価であることや天候による飛行制限を受けること、農薬積載量の制約等のデメリットがあることも念頭に置く必要がありますね。
ドローン農薬散布サービスは、民間業者や農協が提供しており、効率的な農薬散布を求める農家に支持されています。
ご自身でドローン農薬散布を検討する際には、ドローンの選定や認定資格・承認申請の確認などを注意深く検討する必要があります。ドローンスクールで講習を受けるなど専門的な知識をある程度身につけておくと安心です。
ドローンを活用した農薬散布は未来の農業を担う重要な技術であり、農業の生産性向上と持続可能な食料供給に向けて更なる進化が期待されます。
本記事が、ドローン農薬散布の導入を検討する助けとなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!